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子供が3人いるご夫婦が、一緒に遺言書を作りたいと当事務所にいらっしゃいました。
お話をお聞きすると、自分たちに、もしものことがあった時のためにしっかりとした遺言書を作っておきたいと、妻が夫を連れて来所したとのことです。
当NPOより、このご夫婦に相続が発生した場合の説明をさせていただいた後、
具体的な検討に入った時、夫が急に「やっぱり遺言書はつくらなくていい。」と言い出しました。
そこで、理由をお聞きすると「自分にはたいした財産もないし、子供達もみんな仲がいいから、わざわざお金をかけてまで遺言書なんか作らなくても、自分が死んだら残った者たちで話し合えば大丈夫。みんなで仲良く話し合って決めてくれ。」とのこと。
しかし、これを聞いた妻がものすごい剣幕で怒りだしました。
「『子供達は仲がいいから大丈夫』って、子供達の仲がいいからこそ、私たちが遺言書を作って争いの種を残さないようにしなくちゃいけないのよ。あなたが先に逝った時は、困るのは私や子供達なのよ。あなたが自分で稼いだ財産は、あなたが決めておいてくれないと、私や子供達がもし困ったことになった時には、もうあなたはこの世にいないのよ。あなたの『みんなで仲良く話し合って決めてくれ』っていうのは、自分の死んだ後の始末について考えることを放棄して逃げているだけじゃないの。自分だけ格好良く気取っているだけじゃないの。私や子供達の誰かから、自分が恨まれるのが怖いだけじゃないの。今までさんざん子供達に『嫌なことから逃げるな』って偉そうに言って育ててきたじゃない!私も一緒に作るから、あなたも遺言書を作ってよ!」
この突然の妻のことばに、夫は呆然として呆気にとられてしまいました。
当NPOとしては、お客様より「遺言書を作成したい」というご意思を頂かない限り、業務を進めることは出来ません。
そこで、「それでは、今日はひとまず、このお話はこれで終わりにして、お考えがまとまりましたらまたお越し下さい。」とお伝えしました。
そして、約1ヶ月後、再びNPOにご夫婦が見えられました。
ご意向をお聞きすると、
「やはり夫婦でそろって遺言書を作ることにしました。」
とのこと。
そこで夫に、当NPOから「本当に大丈夫ですか?」とお聞きすると、
前回に当NPOから帰った後、妻と二人で、詳しい話し合いをされたそうです。
その話し合いで、妻が語った内容は次のようなことでした。
実は、数年前に妻の父親が亡くなりました。
お葬式が終わって一段落したあと、父親の遺産をめぐって相続の話し合い、つまり、遺産分割協議がされたのですが、その話し合いが、たいへんもめて紛糾してしまったそうなのです。
それまで兄弟姉妹はたいへん仲よく育ったのですが、なぜもめたのか? というと、相続人ではないはずの兄弟姉妹の配偶者や、父親の兄弟姉妹までもが、遺産分割の協議に介入して来て遺産分割協議が泥沼状態となり、それ以降、お互いに絶縁状態になってしまったそうです。
紛糾してしまった遺産分割協議の席で、妻は、自分はもう嫁いだ身だから、遺産はもらわなくてよいと考えていたので、「自分はいらない。」 と申し出ました。すると、他の相続人は、今度はその妻の分を誰が相続するのか?という議題で、さらに紛糾したそうです。
後日、夫の携帯電話に、妻の兄の嫁(義理のお姉さん)から電話がかかって来て、「(妻は)自分の分は、誰にあげるつもりなのか?」と、遠回しに聞かれたそうですが、その時は、夫は何の話のことなのかわからなかったので、曖昧に答えていたのですが、それ以降連絡は来なくなってしまったということでした。
この遺産分割協議は、回数を重ねても決着せず、近いうちに兄弟の誰かが家庭裁判所に調停の申立てを行うそうです。
妻は、自分の権利だけを主張する兄弟姉妹や、遺産分割協議においては部外者のはずの配偶者や親族までが介入してくることに、非常に疑問を感じたそうです。
妻は、夫や子供に、この分割協議について、一切何も話しませんでした。
その理由は、この争いに自分の家族を巻きこみたくないという思いと、自分の夫が他の兄弟姉妹の配偶者のように遺産分割協議に介入してきて欲しくないという、両方の思いからで した。
夫は、妻が語った以上の話を聞いて、
「穏やかな性格だと思っていた妻が、遺言書を作らないと言ったとたんに、あんなに怒った理由が、はじめて理解できました。最近は、妻の親族の家からの年賀状がめっきり少なくなったので、不思議に思っていたのですが、まさかこんなことが起こっていたとは、・・・。」
と、驚いたそうです。
遺言書は一人一人が個別に書くものなので、ご夫婦でそろって遺言書を書かれる場合でも、夫と妻がそれぞれ自分の名義の財産について各々1通、合計2通を書くことになります。
当事務所も全力で、必要書類の収拾や、ご夫婦の意向を反映できる文面のご提案をさせていただきました。そして、無事に遺言書(公正証書)が完成しました。
今回の遺言書作成を振り返って、夫が、
「妻は子供が生まれてからは仕事をやめて、ずっと専業主婦だったし、おとなしい性格なので、家事と育児以外は何も知らないだろうと勝手に思っていましたが、実は私よりも自分たち夫婦のことや子供たちが仲良く暮らせるように考えて、実際に実行していました。とても偉いと思いました。」 とおっしゃいました。改めて、妻の優しさと強さに、惚れ直したようでした。